コラム

2003/05/10

憂いなしの地震への備え(甲・EO)

2003.05.10 【憂いなしの地震への備え】

▼昨年の7月に「東東海・南海地震に係わる地震防災対策の推進に関する特別措置法」という長い名前の法律が制定された。太平洋沿岸地域(中部〜九州にかけ)で地震による大規模な災害が起きそうな所(推進地域)では、防護対策や避難・緊急施設の整備をしておきなさいというものだ

▼「地震? 来るとしても先の話し」と緊迫感がない。ところが国の地震調査研究推進本部の発表によると発生の確率は10年以内では南海で10%未満、東南海で10%程度。今後50年以内ではそれぞれ80%〜90%と圧倒的に危険度が増し、さらに東海地震は、いつ発生してもおかしくない状況としている

▼地震が来たとき建物には、どんな力がどれくらい加わるものか。我が国の伝統工法である木の柱と梁で建設される「木造軸組工法」の場合はどうか。横方向だと例えば、45坪の瓦葺きの重い家では6・4tもの力が建物全体を揺るがす。また、縦の方向には建物コーナー部にある通し柱で最大2tにもなる力が加わっても大丈夫なような設計になっているという

▼しかし、阪神淡路大震災の教訓を受け平成12年6月に法律が改正、現在の木造建築では、?水平力には筋違い?垂直力には金物?壁のバランスの3つポイントをより重視した耐震的に丈夫なものになっている

▼同法律施行以前に建てられた住宅は、横方向には強いものの、縦方向の力と壁のバランスに問題があり耐震改修が求められる。工事の際には、地震情報で不安を煽る悪質なセールスも一部にあるため、県や市町村に相談し信頼できる施工者を選定することが重要。県によっては補助金を出すところもあるようだ。(甲・EO)

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