コラム

2003/05/30

電力不足で夏日が心配(本・MM)

2003.05.30 【電力不足で夏日が心配】

▼今夏の停電ピンチに、東京電力が危機キャンペーンを張って国民に節電を本気で呼びかけている。その最中に、監督官庁の経済産業省が「原発17基のうち1基が再稼働しても7月に停電の可能性がある」との見通しを公表

▼関東地方と山梨県、静岡県東部に電力を供給する東電が昨年、原子力発電所の点検記録改ざんで、1年間運転停止の行政処分を受けたのが発端だ。他基再開のメドは立っていない。電力会社は電気事業法で電気の安定供給を義務づけられている。電力不足量は、茨城県の消費電力480万キロワットを上回る。持てる火力・水力発電の再開や他社からの応援供給でも電力不足は賄えないらしい

▼そこで、東電は節電要請のテレビコマーシャルに打って出る構えを見せている。日常生活への影響も訴えている。停電が起きると、家庭ではテレビ、パソコン、電話などの情報システムが使えない。照明が点かず真っ暗。どんなに暑くてもエアコンが使えない。冷蔵庫が効かず食物が腐る

▼マンションでは給水ポンプが停止し断水が起こる。エレベーターや自動ドアがストップ。信号が停止し渋滞が起こり、事故が多発。鉄道や航空ダイヤの大幅な乱れも生じる。非常用電源のない医療機関では肝心の治療ができなくなる。首都圏での大停電が起こるとすれば15年ぶりだが、もし3日間停電すれば、経済的損失は1兆8千億円にのぼるという

▼トラブル隠しという自ら撒いた種を、危機で煽って解決する姿勢はいかがなものか。5月だというのに、うちわやセンス業界では「いい風が吹いてきた」と思っていようが、一国民としては早くも夏日の心配か。(本・MM)

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