コラム

2003/06/03

ヒヤリ三陸南地震(水・YH)

2003.06.03 【ヒヤリ三陸南地震】

▼5月26日午後6時24分震度6弱、マグニチュード7を記録した三陸南地震。インフラの脆弱さ等様々な形の痕跡を残した。ヒヤリとしたのは、地震もさることながら橋脚の損傷である

▼東北新幹線・岩手県内6箇所、23の高架橋に見つかったヒビやはく離の被害は、118本運休という形で被害をもたらした。かつて阪神・淡路大震災時の高架橋倒壊は構造的な欠陥も見逃せないが、手抜き工事とする烙印も押された。この点について今回はJRが毅然と否定した

▼平成7年1月17日の阪神淡路大震災はマグニチュード7・2。神戸市須磨区、淡路島北部などで震度7を記録。死者6432人、被害住宅51万2882棟。空前の被害に目を覆うばかりだった。逆境に強い日本。これを契機に法整備。着実にライフライン等の対策がなされた。はずだったが実は近年「金が無い」と後回しにされている

▼加えて工事受注業者の過当競争がダンピングという形で表面化。インフラの整備は「安かろう・悪かろう」の原則は許されない。適正な価格として予定価格を公示、それに限りなく近い数字での受注が、健全で良好な製品に結びつく。それは企業にとって最低限の原則である。予定価格の近似値受注は「まかりならん」とするなら、市民の足下は保証されないという結果に結びつきはしないか

▼あと何年後かにツケを払わされるのは善良な納税者に他ならない。アルジェリアでは5月21日の地震で2200人を越す死亡者。違法建築が助長したとし被災地を訪れたブーテフリカ大統領は「人殺し」とののしられた。発注者の「安値受注」について熟考を願う。これは市民の声だ。(水・YH)

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