コラム

2003/06/06

どしゃ降りの日本の空(本・MM)

2003.06.06 【どしゃ降りの日本の空】

▼我が国で天気予報が初めて発表されたのは、明治17年(1884年)6月1日だ。「全国一般の風向きは定まりなし。天気は変わりやすし。ただし雨天がち」だった。何でもありの予報だった。その予報は交番の前に掲示された

▼それから100余年。静止気象衛星「ひまわり5号」が打ち上げられ、予報の当たる確立は85%に跳ね上がった。そのひまわり5号が8年間に及ぶ現役生活を引退。後継機の「運輸多目的衛星新1号」は、いまだ打ち上げのメドさえ立っていない。そこで、同時期に打ち上げられた米国衛星ゴーズ9号が日本の「空の目」の肩代わりをすることに。ともに設計寿命5年の老兵だ

▼5号は寿命後引退の予定だったが、H2ロケットの打上げ失敗、予備機の機能停止と重なり引退できずに酷使。ゴーズ9号も老体にムチ打って観測を続行。5号は東経140度。ゴーズ9号は東経105度から155度まで移動して日本上空をカバーする。静止衛星は赤道上空の高度約3万6000キロの赤道軌道を周回し、地球の自転と同じスピードで回転していることから静止衛星と呼ばれる

▼東大大学院理学研究科の松本淳助教授(気象学)が、1900年から日本の過去100年の気象データ分析結果を調査した。それによると年間降水量はほとんど変わっていなかったが特に6、7、9月の集中豪雨が増える一方で、小雨は減少したという。6、7月の豪雨は梅雨前線、9月のそれは台風の経路変化が原因といわれる

▼ひまわり5号は晴れ晴れと引退したが、日本の空はどしゃ降りが増えた。株価の下落、倒産の急増と瀕死の状態にある今の日本経済のように。(本・MM)

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