コラム

2003/06/19

教育界にも一括請負(本・MM)

2003.06.19 【教育界にも一括請負】

▼学生たちが入試での作文や卒論を書くのと同様に、教諭や教官が試験問題を作成するのは苦労が多いと言う。多大な時間と神経を使うとともに、日頃からの題材やテーマの選択に頭を痛めるからだ

▼学生の学力低下が叫ばれて久しいなか、大手予備校が「大学入試問題の作成を請け負います」と名乗り出たのが一昨年の春だった。予備校間における予備校生の募集競争が激しいため、入試問題事前チェック委託、採点請負の新規事業が盛んらしい。というよりも、必死な受験生を抱え、日頃からの題材ストックがお上手と見える

▼そんなお家事情も手伝ってか、今年度の大学入試で、すでに60を超える大学が入試問題の作成や事前チェックを大手予備校2社に外注していたことがわかった。確かに教官の負担が大きいとの理由は分かるが、それにしても、予備校の新規事業もエスカレートしたものだ。これからは、大手以外の各種予備校にも「A国立大学御用達」の入試問題作成請負看板が増えそうな、いやな気配だ

▼その一方で、大学側の入試採点ミスも後を絶たない。むしろ増加の一途だと言う。先だっては、面接を欠席したのに入学した受験生が出現するなど受験生を取り違えするという、面接ミスも某大学で発覚した。それこそ、多大な迷惑をかけた受験生にあわせる顔がなかったであろう

▼受験する側に大学入試問題を任すのは、大学の威厳を落とす。試験問題の作成もままならぬ教官の授業内容も推して知るべしだ。これで学生に学力低下などと言えた義理でもなかろうに。教育界にも一括請負がはびこってきた。こちらの法的規制は無いのだろうか。(本・MM)

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