コラム

2003/07/01

一汁一菜と産業振興(水・YH)

2003.07.01 【一汁一菜と産業振興】

▼「消費税10%引き上げへ」政府税制調査会の中間答申である。いっこうに出口が見えない不景気のトンネル。次々と追い打ちをかける増税策。そんな世相に、紫陽花や花菖蒲が雨の中でその存在感をアピール。鬱陶しい季節に咲く花々に癒される

▼今回の税調中間答申では、将来益々生活が脅かされるであろうという不安ばかりが先行する。例えば消費税は2006年以降には2桁に。所得税はお金持ちの高齢者に負担を強いる。法人税はいくら経済音痴でも増率とは行かないだろう。少子化の傾向はいかんともし難いから、増税で対応しようと言う愚作だ

▼将来に不安を残す統計が国民生活基礎調査でも明かだ。一世帯当たりの年間平均所得が前年より2・4%減少。この傾向は5年連続で、ほぼ10年前の水準まで落ち込んでいる。さらに高齢者世帯では前年比4・7%減少、過去最大の減少率となっている。こうした背景での税制

▼増税にあえぐ農民が一揆を起こしたのは昔の話。今日幾ばくかの生活で満足を享受している中に、そんな過激さは見当たらない。しかし、構造改革一辺倒の余りにも偏狭な政策を疑問視する人は確実に増えているのでは。今日の政治家は、まさか一揆が起こるなどとは考えないだろうが

▼一時、困窮にあえぐ米沢藩の改革を成し遂げた9代藩主・上杉鷹山が注目された。いつの間にか忘れ去られているが、「一汁一菜、木綿着用」の大倹約令を出し、かつ自らが実践した。倹約ばかりでは無く、産業振興にも心血を注いだ。漆の木を植え、その実から取れる蝋を商品化するなどし、自ら鍬をふるったと言われる。今日そんな為政者者に出会えない。(水・YH)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら