コラム

2003/07/17

公共事業の認識(長・EM)

2003.07.17 【公共事業の認識】

▼先日、母から庭のカボスの木にイモ虫を3匹見つけたとの便り。母はこれを毎年の楽しみの一つとしており、やがて蝶になり大空を舞うその日まで観察を続ける。「生涯勉強」をスローガンに掲げる母の、少し早い夏休み自由課題といったところだろうか

▼課題をいっぱい抱えているのが「改革」の旗印のもと、急速に公共事業等削減を進める我が国の政府。この内閣に国民は50%を超える支持率で応えている。現実的な施策を正しく判断しているようには見えないのだが。「公共事業悪しき」といった風評が生まれたのはいつの頃からだろうか

▼そもそも公共事業は、地元住民の要望から芽を出すものである。隣町までの曲がりくねった山道にトンネルを通し、近くて遠い対岸に橋を架ける。高速道路は故郷との距離を縮め、整備された歩道により親は笑顔で子どもを学校に送り出せる。人々は例外なく公共事業の多大な恩恵を授かっているのである

▼昨年暮れに新入札方式を導入した長野県では、予定価格に対して32%という超安値受注が出る異常事態だ。公正な基準の下で算定された予定価格に対し3割の落札金額では、品質確保もままならない。重要なのは、この金額で工事が出来るのではなく、この金額でなければ工事を取ることができないということ

▼地域の希望を産声に、様々なプロセスを経て、ようやく発注される公共事業。造られた構造物は未来永劫、我々の財産となり、恩恵を与え続ける。すべての人々は、この仕組みをもう一度再認識し、建設業やそれに携わる者に公正な目を向けてほしい。それは必ずや業者の誇りとなり、優良工事の施工につながる。(長・EM)

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