コラム

2003/07/25

実力? それとも年齢?(水・KK)

2003.07.25 【実力? それとも年齢?】

▼20日、大相撲名古屋場所が千秋楽を迎えた。優勝ラインは低かったが、怪我などで永らく持てる力を十分に発揮できなかった水戸出身の武双山関、雅山関が終盤まで優勝争いに加わり、同郷のよしみで満足の場所だった

▼名古屋場所と言えば前半戦は横綱朝青龍をめぐる話題でもちきりだった。横綱として史上初の反則負けに始まり、先輩の旭鷲山とのトラブルは連日、スポーツ紙上を賑わせた。結果的には仲直りしたらしいが、こうしたいきさつは社会でもあることだ

▼それを受けて、某ラジオ局がアンケートを行なった。テーマは「実力は上だけど生意気な後輩。やっぱり世のなか実力重視?それとも年齢?」。結果は54%の僅差で「実力」と出た。サラリーマン以外にも調理師や居酒屋店長など様々な職業の人が意見を寄せていたが、多くが実力主義は当然との声だった。「先輩風を吹かせる人ほど働かない」との辛辣な声も

▼最も日本的な伝統社会と言われる角力界だが、番付が全ての実力の世界だ。プロスポーツである以上自明の理。ただ日本人の心の底に「長幼の序」を重んじる意識があるため、朝鷲龍はやり過ぎーと今回の騒動になったのだろうか

▼徳川家康が江戸に幕府を開いたのが400年前。力ある者がどんどん大きくなれた社会を徹底的に押さえた。幕府をいつまでも安泰に保つ方策が士農工商の階級制度であり、そのバックボーンが長幼の序であった。しかし5代綱吉の頃を境に商人の力が台頭。固定化した江戸幕藩体制は市場経済の発達のなかで徐々に力を失っていった。武力にしろ経済力にしろ時代を動かすものはやはり実力であろうか。(水・KK)

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