コラム

2003/07/29

明日は我が身「水俣水害」(水・YH)

2003.07.29【明日は我が身「水俣水害」】

▼「1人だけ残っても生きている甲斐がない」。一瞬のうちに家族はもとより家屋、隣人を失って涙に暮れる被災者の悲痛な声である。「対岸の火事」と聞いてはいないだろうか

▼20日午前1時ごろからバケツをひっくり返したような豪雨が熊本県水俣市宝川内を襲った。約1時間で72ミリを観測。午前4時、土石流が発生。死者・不明者22人に及ぶ「水俣水害」とする歴史的大災害となった。秒速10メートル(時速36キロ)以上のスピードで5万から10万立方メートルの土石流が約1・5キロを駆け下った

▼調査によると3基の治山ダムはもろくも堰堤部分がもぎ取られているという。このダムは当然これらの災害に耐えられる構造をなしていなかった。しかし地域住民は「ダムが有るから大丈夫」と思っていたという。防災用の多目的ダムでは無いことが周知されていなかった。危険個所で災害は予想できたとの声もあるが

▼近年の主な大雨災害を見ると1990年9月大雨により西日本中心に死者44名、91年9月3個の台風が相次ぎ上陸し全国で死者86名、93年7月九州南部地区で土砂崩れにより死者93名、同年9月九州で台風による土砂崩れにより死者48名、99年7月集中豪雨による土石流で中国地方では死者39名が犠牲になっている。前線の通路で多発

▼全国に土石流危険渓流は何と18万3000箇所を越える。砂防ダムを整備するには膨大な費用がかかり、そのため回避方法は住民の意識によるという。今日の政治家や世論がこのまま「公共事業は不要」との主張が推移するなら、必ずやこのような災害は繰り返されるだろう。自殺行為に等しい。(水・YH)

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