コラム

2003/08/01

「遠く」を見る目(埼・YW)

2003.08.01 【「遠く」を見る目】

▼「熱し易く醒め易い国民性」と私達日本国民は一般的にそう言われる。イングランドはおろか世界のスーパースターであるサッカーのベッカム狂想曲がそれだ

▼ベッカムへの異常なまでの報道はイギリス、スペインなど多くのマスメディアが驚嘆するほどであった。思えば、昨年6月の新潟でのデンマークとイングランド戦で、ベッカムがコーナーキックを蹴る瞬間のフラッシュの数、筆者の隣のイギリス人が「クレイジーだ」と顔をしかめたことがあった。ベッカムフィーバーはまだ続いている

▼この熱し易い国民性は、目的を持ったら集中しかつ勤勉で真面目さが手伝い、驚くべき結果を残す。戦後の経済復興がその一つと言える。さらに昨年のサッカーワールドカップを見ても、国民すべての応援が素晴らしく運営も世界中から賞賛され、日本の評価も上がったことは事実。集中力は天下一品と言うところだ

▼しかし、熱し易いことは時に長期的な構想に欠ける。例えば、テストなど短期で結果が見られることに対しては徹夜で努力する者もいるなど夢中になる。ところが、自分が生きている間に結果が見られないことに対しては概してわが国民は関心がない。この長期的な考えと粘り強い気質を持たないととりわけ会社運営はうまくいかないはずだ

▼筆者が今から10年ほど前ドイツを訪れた時に首相選挙が行われていた。その時の討論のテーマがなんと「100年後のドイツ経済のあり方と欧州の経済の姿」だった。1、2年後ではなく100年後を討論していた。熱し易くとも遠くを見る視点を不景気の今こそ持つべき。時間はかかるが必須な要件だ。(埼・YW)

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