コラム

2003/08/05

新紙幣がもたらすもの(水・YH)

2003.08.05 【新紙幣がもたらすもの】

▼関東地方は例年より概ね約10日遅れの梅雨明け。低温、日照不足で稲作等農作物に被害が出てきた。客が来ない海の家、エアコンの販売不振等々不景気に油を注ぐような自然環境。東京電力の電気予報などどこ吹く風

▼自分の懐がどうなるわけでもないのだが、日銀は昨年決定した新紙幣の印刷に着手した。まず1万円札、10月から1000円札、12月からは5000円札。そして来年7月には約30億枚の新紙幣が出回る模様だが、現在流通している121億枚、約69兆円の紙幣が入れ替わるには2年を要する

▼自らの財布に収まるわけでもないが、デザインをおさらいすると、1万円札の表は福沢諭吉で同じだが裏を鳳凰に、5000円札は新渡戸稲造から樋口一葉へ、1000円札は夏目漱石から野口英世に変わる。1984年11月以来の刷新だが、偽造防止や景気刺激策等の効果にも狙いにあるようだ

▼人の懐具合は無責任に気になるものだが、現在出回っている紙幣は1万円札が60億枚の51・5%、1000円札が30億枚29・3%、そして発行から2年経った2000円札は3億枚とされる。紙幣に対応する国内のATM設置台数は約15万から16万台。新紙幣対応に換えるには1台30万円から50万円かかる。計算によると400から500億円の特需を生むことになる

▼お国は予算が無いから、来年度も公共事業を3%削減し、耳にタコが出来た財政再建策を堅持するという。お札はこんなにあるはずなのに。昨年1年間の自殺者は3万2000人余り。事業倒産による負債、生活苦の理由が急増している。新紙幣を手にすると一瞬の至福に陥る悲しい性。(水・YH)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら