コラム

2003/08/06

影薄れた看板娘(本・MM)

2003.08.06 【影が薄れた看板娘】

▼「タバコは心の日曜日」と持てはやされたことがあった。「タバコは生活の句読点」というのもあった。いずれも懐かしい響きである。ハイライト、セブンスター、チェリー、ミスタースリム、カレント、マリーナ、マールボロ等々と70年代の代表が浮かぶ

▼カタカナ名だけでなく、いこい、しんせい、蘭、峰、宙(おおぞら)の和名も流行った。歌手のキャンディーズが普通の女の子に戻りたいとサヨナラコンサートした78年にはジョーカー、キャビン、パートナーのほか、雅(みやび)、いぶき、こもれびが販売。20年間もずっと煙に付き合ってきたが、その後に禁煙して10年が経つ

▼いまや健康増進法の施行もあり、公共機関に全面禁煙が広がりを見せている。今月には財務省の「たばこ事業等分科会」が来年度から、たばこ包装に警告文を発する注意文をまとめた。資料によれば「肺がんの原因や心筋梗塞、脳卒中の危険性、肺気腫の悪化」など具体的な病名との因果関係をあげ危険性を明記した

▼これまで軽くみられてきたタバコの煙が、周囲の子供や老人など周りの人へ影響するとした「受動喫煙」の危険性を警告したことは画期的なこと。タバコは自治体にとって貴重な収入源であろうが、流山市長は「人の健康や生命に関わることの方が大事」として、公共施設への全面禁止を定めた

▼タバコといえば看板娘がいた。紙巻、葉巻、パイプ、刻みもあった。「こもれび」という心にくい名もあった。昔は多種多彩だった。禁煙講演会後の一服はさぞかしおいしことだろう。喫煙者は最近、妖怪めいた人物に見られるらしいから肩身が狭い時代になった。(本・MM)

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