コラム

2003/08/09

放送に関する法律(松・JI)

2003.08.09 【放送に関する法律】

▼今年は日本のテレビ放送50周年。放送は昭和28年、NHKにより開始された。当時の受信契約数は866件。現在は3、800万件で、今年度事業収入6、738億円のうち97%は受信料による。膨大な契約数だ

▼「放送法」に日本放送協会、NHKに関する章がある。第2章第32条「協会の放送を受信できる受信設備を設置した者は協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」。法律解釈は専門家でも分かれるが、深読みしなければ「テレビを設置したら受信料を払わなければならない」ということだろう

▼さて受信契約する必要があるが、それはいつすれば良いか。これは13年2月総務大臣認可の放送受信規約第4条で決まっている。「放送受信契約は受信機設置の日に成立する」。つまり我々はテレビを設置した、まさにその日に契約となるのである。辞書によると「契約」とは「複数の意思表示の合致によって成立する法律行為」とある

▼その総務大臣下の総務省が架空請求トラブルに関する文書を4月に出している。利用していない有料アダルト番組の情報料請求への対処を記したもので、「利用していなければ支払う必要はない」とある。受信料の話にこれを応用すると「見ないから払わない」と断ることの正当性が表れてくるようだ

▼NHKが公共放送として受信料によって成立し、また多くの人が楽しめる番組を作っているのは事実である。しかし、その放送を取り巻く法、とりわけ個別契約者への説明責任を果たさぬ契約の存在を、国がいつの間にやら規定している事実には疑問を感じてしまう。「契約」の意味を再考したい。(松・JI)

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