コラム

2003/09/03

停電にまつわる思い出(さ・YW)

2003.09.03 【停電にまつわる思い出】

▼8月14日ニューヨークをはじめとするアメリカ、カナダで大停電が起こり、通勤客は地下鉄が動かず家路につくことさえできないなどの大打撃をこうむった。当たり前のように身近にあるインフラの中でも重要な電力がストップすることは想像を絶する

▼電力に関しては忘れがたい思い出がある。電力の自由化が叫ばれ、経済産業省本館への電気供給入札で、東京電力が大手財閥の系列会社で作った企業に負けた。電力の自由化という言葉とそれにまつわる停電のことは10数年前にロンドンで初めて体験した

▼ロンドンは電力が自由化になり入札によってそれぞれ電力会社を決める。朝の6時から6時間ごとに入札により使う電力会社を変えることが可能になる。筆者はそんなある日、日本人ツアー客が「昨日、ホテルで停電があったよね」という会話を聞き、説明してあげた記憶がある。それは電力会社の切り替え時間で0・2秒停電になることを

▼電力の自由化について、まだ学生だった筆者が当時の通産省にたずねた時の回答だが「先日、田園調布で0・1秒停電があったら何百本と苦情があり、安いというコスト意識より利便性を取る国民で、頭のレベルが達していない」という。その回答を聞いてさらに不信感が募ったことは言うまでもない

▼さいたま新都心で関東経済産業局の取材をするまで、こんな不遜な態度で国民を小ばかにした集団はいないと思ったものだ。しかし取材を重ねると実は紳士的で開かれた役所だったと感じているが。文明の歴史は、火をつけることから始まっている。節電ばかりではない省エネルギーは人類の課題だ。真摯に取り組みたい。(さ・YW)

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