コラム

2003/09/06

経済成長は本当か(甲・EO)

2003.09.06 【経済成長は本当か】

▼先に内閣府は4〜6月期の国内総生産(GDP)が物価変動を除く実質で前期比0・6%増(年率換算2・3%)と、6期連続のプラス成長になったと発表した。この発表を受け株価も景気回復期待感から一時大きく値を上げた

▼「実質GDP」とは物価下落分を調整した数字で、物価がこれだけ下がり実質的にお金の価値が増えたのだから、その分、支出を自動的に増やしたことにしましょうとした数字。しかしこの分を除いた名目GDPも0・1%増(年率換算0・6%)のプラスとしている

▼政府によれば、構造改革が進んできた証拠だと現政権の経済運営を援護するが、これらの数値を注意深く見ると、不自然さに気付く。今期においては、たばこの売上が7月からの増税前の駆け込みで大幅に増え、SARS(新型肺炎)の影響で日本人の海外旅行、出張が激減したことをサービス輸入の減少として扱い、この分をプラスとしてカウントしているのだ

▼名目における同期の増減率は、個人消費0・2%減、住宅投資0・6%減、設備投資0・5%減、公共投資1・5%減といずれもマイナス。プラスは輸出の0・5%、政府支出の0・6%のみ。それにもかかわらず、政府は個人消費や民間設備投資といった内需が底堅く推移したーと説明しているのだ。プラス成長としたのは、総裁選を控えた数字合せにもみえる

▼大多数の国民は、我が国経済のプラス成長を実感しているのだろうか。短期の株投資では、95%の人が損をするという。発表を表面的に受け取るととんでもないことになりかねない。日々の実感が本当だということが、いずれ明らかになる。(甲・EO)

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