2003/09/12
農作物泥棒への怒り
2003.09.12 【農作物泥棒への怒り】
▼世界で1秒間に58・4トンの穀物が生産され、60トンが消費されている(「一秒の世界」ダイヤモンド社刊)。100人中75人は食べ物の蓄えがあるが、残り25人は無い(「世界がもし100人の村だったら」マガジンハウス刊)
▼世界で毎日2万4000人が餓死し、8億人が飢餓にさらされている。1年で867万人が餓死しているという想像を絶する現実だ。日本はどうだろう。1993年以来の稲作・不作にも関わらず、当たり前のように消費は心配無いという。原爆などで脅さなくても最低限の生活が保証されている
▼にも拘わらず、丹精を込めて作った農作物の盗難が例年になく相次いでいる。6月12日山形県天童市などで1310キロのさくらんぼが盗まれた。関東地方ではこれを皮切りに6月に群馬県赤堀村でスイカ、7月には群馬県でトウモロコシやカボチャ。8月にはいると山梨県勝沼町でブドウ、茨城県下妻市でナシが。たぶん氷山の一角であろう
▼因みにこれら泥棒は刑法235条の窃盗罪にあたり、10年以下の懲役刑が科される。農家にとっては当然死活問題であろうが、何よりも1年間丹精を込めて作ってきた作物だけに文字通り「美味しいところを盗られた」と悲痛である。警察では稲作が悪い背景から「今後はお米が狙われるのでは」と懸念している
▼「同業者、関係者の犯罪では」としているものの、これら泥棒が捕まらない。補償もない、保険もない。基本的には自分で守る意外に抜本策は無いと警察はいう。こうした社会現象を生むのは何故だろうか。際限のない日本人の飽食、贅沢。そして長引く不況が生む将来不安ではないか。