コラム

2003/09/13

防犯に一致団結(前・HI)

2003.09.13 【防犯に一致団結】

▼全国の警察が今年上半期に認知した刑法犯の合計数が133万8983件と、前年比で若干下回った。その中で増え続けているのが、住宅を狙った侵入犯だ。上半期の認知件数は約9万4000件だが、検挙率がそのうちの3割にすぎない

▼市民にとっては深刻な問題だ。こうした背景から住宅の防犯ビジネスが好調だ。ドアキーやインターホンなど防犯対応の住設機器の売り上げ増加した。ハウスメーカーでは、住宅全体に防犯対策を施した商品化も進むなど枚挙に暇がない

▼ロシアには「ダーチャ」という小さな畑を備えた郊外の家がある。別荘のようなものだが、ロシアの半数近い世帯が所有する一般的なもの。このダーチャは、都市人口率の高いロシア人にとって、食卓に欠かすことのできないジャガイモなど野菜を作る場ともなっており、毎週通う人も多い。しかし平日、家主のいないダーチャは、窃盗などの被害に狙われやすい

▼こうした事態に所有者の多くは、警察をあてにせず独自の防犯対策を取る。その中には、ドアの鍵に電気を流したり、ウオッカに毒を入れて犯人の見える所に置いたり。これらにより命を落とす犯罪者もいるという。しかしここまですると、どちらの罪が重くなるのかわからない

▼イギリスには「ネイバー・フド・ウオッチ」という、20〜30世帯で構成する防犯組織が国内に約16万か所もある。防犯に最も効果が高いのが、こうした地域コミュニティによる取り組みだろう。「生き残り」「勝ち組」こうした言葉に象徴される殺伐とした現代ではあるが、こうした時こそコミュニティ、一致団結だ。建設業の心でもある。(前・HI)

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