コラム

2003/10/02

「じゅげむじゅげむ」(長・YK)

2003.10.02 【じゅげむじゅげむ】

▼ある夜、子供が寝ているかどうか確認するため二階の寝室へそっと上がっていくと、タオルケットをお腹に巻きながらモゾモゾと動いている。『こいつー!まだ寝ていないのか』と思いながらも、気付かれないようにドアの陰に隠れ様子を窺っていると、なにやらブツブツ言っている

▼よく聞いてみると『じゅげむ、じゅげむ、ごこうのすりきれ、〜』とあの落語の長〜い名前を最後までブツブツ言っている。『ちょうきゅうめいの、ちょうすけ』と言い終わった時『まだ寝てないのか』と声を掛けた。子供は怒られると思ったのだろう、しまった〜という顔をしていた。『じゅげむは、どこで覚えたの』と聞くと『保育園で覚えた。三歳の子も言える』と少し自慢げに答えた

▼教育テレビで元大関のコニシキや狂言の野村萬斎が、子供と一緒に百人一首などを朗読しているらしい。夕方その番組を子供と一緒に見た。当日もこの番組で『じゅげむ』をやっていた。三歳の子どもが、あの長い文を覚えてしまうのだから、テレビの力は恐ろしい

▼『無駄な公共事業』『税金を食い物にしている建設業者』といった言葉がテレビを通じて流れて来る。本当に無駄な公共事業があるのか、東京に住んでいると不思議でならない。渋滞道路、危険な通学路、まずい水、急激な雨に対応できない道路等々。東京に限って言えば、都市基盤は完全とは言い難い

▼高視聴率を誇るニュース番組が連日『税金を食い物にしている建設業者』などと呪文のように言い続ければ、基礎知識の無い人は、そのまま信じ、覚えてしまうだろう。3歳の子が『じゅげむ』を覚えてしまうように。(長・YK)

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