コラム

2003/10/11

歌おう食べよう恋しよう(前・HI)

2003.10.11 【歌おう食べよう恋しよう】

▼自民党小泉総裁による新内閣がスタートした。構造改革が今後、議論から実行の段階へと移り、目に見えた効果が多方面から求められている。しかし一方で、改革の対象となる業界、痛みを伴う業界は、改革の強行を警戒している

▼構造改革で成功した国と言えば、イタリアである。日本と同じように、少子高齢化、厳しい財政状況等の問題を抱えていた1990年代の同時期に構造改革に着手した。しかし日本は未だ経済の低迷を脱しえないのに対し、既にGDPも増加に転じるなど経済状況は改善している

▼イタリアの経済の強さの一つに、中小企業が有するブランド力があげられる。アルマーニ、ベルサーチ、フェラーリといったブランド名は世界に通用するものだ。こうした企業は巨大企業ではないが、ブランド力が強大なため、価格競争に巻き込まれることがない。しかしこうしたブランド力は、日本が進めているリストラ等の合理化されたシステムの中からは生まれにくい。自由な発想、強いこだわり、飽くなき探求心といったものから湧き出るものだ

▼イタリアはかつて、首相がコロコロと代わったり、中央銀行においてはドイツから借金をしたりと、国家としては頼りない面も見られた。しかし、イタリア人一人ひとりが生き抜く芸に優れており、それがイタリアの活力の源泉となっていることから、政府が多少ぐらついても、国全体が崩壊することはなかった

▼イタリア人がよく使う言葉に「カンターレ、マンジャーレ、アモーレ」がある。イタリア人の気質を端的に表すこの言葉は、口に出すだけで開放的な気分にさせてくれる。これから日本においても国が頼れる存在でなくなる中、イタリア人のように一人ひとりの生命力を育みたい。(前・HI)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら