コラム

2003/10/16

郵政民営化と島国根性(さ・YW)

2003.10.16 【郵政民営化と島国根性】

▼ご承知の通り、わが日本列島は周りがすべて海に囲まれた島国である。他の国と接していないことから世界標準的な考え方からかけ離れ一般に「島国根性」と言われる

▼小泉改造内閣では、道路公団民営化と並び郵政事業民営化が大きな公約になっている。郵政事業の民営化で残念ながらあまり議論されていないことがある。それはこれまでの郵便形態では国際競争力における「敗戦」が待ち受けているということだ。実は、ドイツの郵便事業は隣国オランダとの国際競争力に負けて民営化の道を探った

▼筆者が住んだことのあるドイツのノルトヴェスト・ファーレン州では、オランダがドイツでのテレビコマーシャルの中で「ドイツ国民の皆さん、郵便はオランダから出しましょう」と流れる。ドイツの切手代金よりはるかに安いオランダから出した。その結果、郵便事業は敗れ民営化し企画力と安い代金、無駄を省き組織形態を変えた

▼陸続きのドイツとは条件が違うとは言っていられない。実は日本の商社やマスコミなどの多くは、郵便は香港を経由している。例えば、日本では80円に対して香港では24円(平成6、7年ごろ)だったような気がする。つまり、一般国民からすれば年間に2、3回程度しか手紙を出さない場合はそれほどシビアにはならないが、日に何万通も出す企業にとっては死活問題にもなりかねないのだ

▼経済面では国際的でも、実際はこうして国際競争力に負けていることも現実である。島国根性であるわが国民を説得し納得させることを具体的に言う必要があるだろう。在来の施政方針のように、掛け声だのスローガンだけではピンとこない。(さ・YW)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら