コラム

2003/10/18

政治に翻弄される業界(本・MM)

2003.10.18 【政治に翻弄される業界】

▼「首相が政策転換しない限り支持しない」と公言していた。それが、総裁選が近づくにつれ雲行きがあやしくなり、ついには「衆参選挙に勝つためなら、政策に反対してでも支持する」として、参議院橋本派(青木グループ)は小泉首相を「党の顔」に押し立ててしまった。同一歩調をとる建設業界のショックと困惑は当分消えそうにない

▼自民党総裁は「イコール首相」構図のため、総裁交替は派閥政権交替を意味している。これほど瞠目される選挙はないが、今回もまた奇妙な総裁選が演出された。そこには10年前の野党に転落した辛苦の経験と強力な選挙志向があったことは否めない。何事も勝てば官軍である

▼自民党が選挙に勝てる小泉総裁を選んだなら、小泉総裁もまた選挙に勝てる安倍幹事長を、国政選挙を仕切り公認権と資金を握る、実質ナンバー1の幹事長に抜擢した。総裁選、内閣改造、総選挙を三位一体としてとらえた首相は、メンツを配慮した絶妙な人事を敷いた

▼橋本派を分断統治し、派閥政治を打ち崩し、世代交替を促進させ、反公共事業を掲げて構造改革を推し進める首相は、呉越同舟にある青木連合として、衆議院総選挙で民主党の菅・小沢連合と勝負を決することになろう

▼デフレ克服、補正予算で内需喚起の政策転換を願っている建設業界は概ね「民主党よりは自民党、自民党なら橋本派」を支持していた。公共事業を推進する橋本派の分断、参議院青木グループの小泉首相支持など政局のとばっちりで、業界の試練は当分続く。政策論以前に派閥闘争の政局は、いつも国民不在で政治に対する関心も日々遠くなるのは当然である。(本・MM)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら