コラム

2003/10/23

大分の方言「なしか」(本・MM)

2003.10.23 【大分の方言「なしか」】

▼大分に出張したある日、地元の知人から1冊の本を提供された。「なしか」という奇妙なタイトルだった。「はなしか」のハ抜けかと思った。人気ものと見えて3巻がすでに書店に並んでいた。一冊に小咄100選が収められている。ただしすべての作品の最後に「なしか」と添えてある

▼平均4、5行句の歌詞だが、まるで川柳、小噺、掌編、ショートショートの趣が感じられる。風刺を利かせ、話しの落としどころもうまい。大分弁の「なしか」とは関西の「なんでやねん」の変形という。「なんでだろう、何でそうなるの」などの意味らしい。辞書にはない。方言辞典にも

▼日頃の生活のなかで、家族に対し、自分に対し、世の中に対して綴っている悲喜劇とも見受けられる。レトリックや豊かな表現は使われていないが、人生の機微、ディテールにこだわる面白さがある。表誌には方言で「いつでん、どこでん、なんべん読んでん、いつまでたってん、おもしりい」とある。なるほど、飛行機を待つ間に待合室で2巻読んだ

▼閑話休題、作品の紹介。《この前、酒癖の悪い先輩と飲みに行った。だいぶ酒が回ってきたところで先輩が『おい、あそこに女の子が2人いるだろう。あれが3人に見えるようになったら、お前はもう飲むな』と云われた。『あの〜先輩、あそこには1人しかおりませんが』といったら、『この馬鹿もん、2人いるだろが。いいか、酒は飲んでも、飲まれるな』と云われた。なしか(何でだ)》

▼次ぎはミニ編。《『今日は久しぶりに家族で食事に行こう、出かける準備をして』と子供にいったら、女房から『あんたも行くの』と云われた。なしか。(本・MM)

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