コラム

2003/10/27

「おしん」と人気企業(水・YH)

2003.10.27 【「おしん」と人気企業】

▼NHKが1983年に放送した朝の連続ドラマ「おしん」がイラクで放送されることになった。NHKでは「逆境にめげず、困難に立ち向かうおしんの姿がイスラム世界でも感動を呼んだ」としての提供だ

▼確かにドラマ「おしん」は日本でも空前の視聴率62・9%を記録。「おしんシンドローム」などと「堪え忍ぶ」姿の代名詞として使う社会現象を生んだ。海外では64の放送局で放映され、特にメキシコでは89%、イランでも82%の考えられないような高視聴率を挙げた。おしんの生き様は日本独特の気候風土を超えて理解される

▼毎日コミュニケーションズが実施している学生の就職人気企業調査は社会の風景を見るのに興味深い。因みに「おしん」が放映された1983年は文系が1位サントリー、2位公務員。理系は1位NEC、2位日立製作所。鹿島、清水、大成建設が理系で8、9、10位にランクイン

▼今回の調査では文系1位はJTB(4年連続)、2位トヨタ自動車。理系1位ソニー(6年連続)、2位トヨタ自動車。建設業界では鹿島が24位、竹中工務店26位。理由は安定性や業界上位などがあるものの、テレビ等コマーシャル、いわゆるマスコミでの話題性に影響されているという

▼ドラマは食べるために働く当時の一般的な環境の中で、少女「おしん」がけなげに信念を持って働き、生きる姿が共感をよぶ。しかし職に対する意識の安直さが年々明白になっているのは事実。復興中のイラクばかりではない、日本の若者にこそドラマ「おしん」を見てポリシーを持って働くことの意味を考えて欲しい気がする。「おじん、おばんの感傷」と言われそうだが。(水・YH)

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