コラム

2003/10/28

大手への下請逆襲開始(甲・EO)

2003.10.28 【大手への下請逆襲開始】

▼「乾いたタオルをしぼる」といった経営で過去最高とも言われる利益を稼ぐ大企業。その裏で、泣いているのが下請。悪条件でも、断ってしまうと仕事が無くなってしまうため、やむなく続けているのが現状だ

▼こうした中、大企業が下請から逆襲される分野が増えているという。例えば、金型産業。金型は、電子・電気機械製品、自動車・二輪車に代表される量産製品を製造する時に必要不可欠な道具で、大量生産されている製品は、その部品のほとんどが、金型を用いて生産される

▼熟練技術者や技能者を必要とする同産業は、我が国が得意としてきた分野。しかし、韓国、台湾、中国といった競争相手が出現、グローバル化の中で単価が激減している。中には、金型を1つだけ注文し、合わせて版権である設計図やノウハウまでも要求、それを下に2つ目からは中国企業に安く作らせるような、メーカーもある

▼そうした中、ある下請は密かに研究していたナノテクレベルの金型を成功させた。大手企業のある日の単価切り下げ要求に「よそに注文したら。できないと思うけど」と言い放った。この時、その企業は初めて、見下していた下請が、いつの間にか世界に冠たる企業に生まれ変わっていたことを知ったという

▼弱い立場の下請からの変身は、大企業の傲岸不遜(ごうがんふそん)な態度への憤りや、人間扱いされなかった悔しさがバネになっている。我が国の産業は、圧倒的な数の中小企業が基盤である。大手企業への逆襲の例は、伝え聞いた中小企業間でも広がり、技術開発等に拍車がかかっているという。こうした草の根の動きは、建設産業界でも言えるのでは。(甲・EO)

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