コラム

2003/11/29

民営化にまつわる話し(さ・WY)

2003.11.29 【民営化にまつわる話し】

▼道路公団の民営化に向け元大商社の役員で財界が推した参議院議員が総裁に決定した。民営化を進めるべく民間で成功を収めた人物をターゲットにした結果だ

▼民営化にするという組織論の賛否だけの駆け引きが全面に出て、将来のネットワークと道路を含めた全体の社会資本についての議論がほとんどされていない。例えば、民営化の新会社が採算路線とそうでない路線を選別し、無駄な路線は造らない、非常に現在の公共事業に対して求められる「費用対効果」を具現しているように聞こえる

▼果たしてそうなるだろうか。ならば投資効果の高い道路を建設するとしよう。その道路の建設に際して既存道路の料金収入はそのままですむのだろうか。つまり、民営化になった場合の料金設定はどうなるのかが不透明だ。イギリスでの体験談を紹介したい

▼イギリスは国鉄が民営化になった。わが国もそうだが、決定的に違うことがある。わが国は一斉に民営化になり初乗り運賃もどの区間ともほとんど変わらない。しかし、イギリスは路線ごとに順番に民営化になり、路線ごとに買い取った会社が違う。その結果、リバプールやマンチェスターといったドル箱路線は民営化になるのが早く、そうでない所は遅かった

▼まだある。ロンドンのユーストン駅から20年ほど前はリバプールに行くのに3、000円程度なのに3年前は9、000近くかかった。料金が高騰している。変わった点が1つだけ気づいた。「パッセンジャー」と言っていたのを、「カスタマー」と呼ぶようになった。高速道路の民営化でも料金高騰、呼び名を丁寧にするだけでは意味がない。(さ・WY)

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