コラム

2003/11/27

異彩っ放った太陽の塔(甲・SA)

2003.11.27 【異彩を放った太陽の塔】

▼全国各地で本格的に紅葉が深まり、日中は若干の暖かさが残る日々が続く。そんな秋は、絵画や美術などにあまり触れる機会のない人でも、なぜか筆を取って何気なく絵を書いたり、美術館などに立ち並ぶプラタナスの木の下を散歩したくなる

▼「芸術は爆発だ」の語録で有名な故・岡本太郎氏は、独創性、個性的な造形物を数多く残した。中でも大阪府吹田市の万博公園内に建つ「太陽の塔」は異彩を放っている。59歳の時の作品で、1970年に開催された万国博覧会のシンボルタワーとして登場した。高さ70mにもなる巨大な建造物は、博覧会のテーマ「人類の進歩と調和」のイメージが込められている

▼先日、日本万博記念協会が独立法人へ移行することを記念して、「太陽の塔」を33年ぶりに一般公開する企画が発表された。塔の内部には、造形作品「生命の樹」が塔の内部の先まで高く伸び、その色鮮やかな枝に生物の進歩を表現した模型がある。去る10月の2日間を対象とした一般公開の1970人を定員に参加を募ったところ2万4000通もの応募が全国から届いた

▼万博開催当時の日本は、高度成長期の真っ只中で、建設ラッシュが相次いだ。経済も人口も上昇傾向で、先行きの明るい兆しが伺い知れる日本の果敢な姿がフラッシュバックしてくる。協会に爆発的な塔の公開参加を希望する大反響の声が届いたのか、今後数回にわたってアンコール公開されることになった

▼平成17年3月から半年にわたり開催される愛知万博では、どんなモニュメントが姿を表すのだろうか。大阪万博を知らない世代に向けて、後世に時代背景が残るそんな万博を見てみたい。(甲・SA)

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