コラム

2003/12/17

鹿児島にて「一期一会」(本・MM)

2003.12.17 【鹿児島にて「一期一会」】

▼鹿児島県にて10月の某日。偶然乗り合わせたタクシー運転手(矢野林蔵さん)から、鹿児島にきたら「桜島、西郷ドン、特攻隊記念館に立ち寄っとくれ」と云われ、まずは桜島を旅した。この3か所が鹿児島県の3大名所であるらしい

▼桜島は、噴火による耕作面積が乏しい東桜島村が鹿児島市と合併し、裕福な西桜島村が桜島町に変遷した。桜島は奈良時代の718年に鹿児島市の向こう側にあることから「向島」と呼ばれ、江戸の大噴火によって陸続きになった。その噴煙は北海道を超えカムチャッカ半島までたなびいたという

▼渡った桜島側から鹿児島市を見下ろす錦江湾は何ともいえないすばらしい鳥瞰である。ハワイの真珠湾にそっくりの地形と言われ、幕末に英国に敗退した薩摩軍は英国海軍のパワーを目の当たりにして、東郷平八郎を留学させ海軍の整備にいち早く取り組んだ歴史をもつ。戦前の山本五十六元帥もここ錦江湾で模擬訓練したと伝えられている

▼以上の知識は、すべて運転手の矢野さん(第一交通株式会社)からいただいた。観光運転手とあって勉強熱心な方とお見受けしたが、本人は子供たちに「これをしなさい。あれをしなさい」と強要したことは、ただの1度たりともないそうだ

▼「親が押し付けた趣味や仕事は長続きはしない。自分で決めた道は長続きするものだ」と矢野さんは話す。妹さんは教員、次男は防衛庁勤務という。草の役割に徹し、縁の下の役目を貫き通す矢野さんは「草がなければ、花は育たないし、目立たない」が持論だ。そんな矢野さんはドライバーが1番好きだという。小生の父もまた、生涯ドライバーだった。(本・MM)

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