コラム

2003/12/18

天空の城ラピュタ(甲・TK)

2003.12.18 【天空の城ラピュタ】

▼先月、福岡県福岡市が発表した人口島「アイランドシティ」の住宅開発の一部で、アニメ映画監督・宮崎駿氏がスケッチした絵を参考に事業を進めるという計画が中止になってしまった。同開発事業は、機能性重視の都市空間から脱却し、自然と共生できる街をつくる計画

▼宮崎氏のスケッチ使用は無くなってしまったが、基本を存続させ別の形で事業を進めるそうだ。宮崎駿氏と言えば「千と千尋の神隠し」など話題作が多い。それが故に反響も大きく今回のドタバタの一因になってしまったとも言えるだろう

▼作品の中で印象に残ったものの一つに「天空の城ラピュタ」がある。クライマックスで、主人公シータが「土に根をおろし、風とともに生きよう。種とともに冬をこえ、鳥とともに春を歌おう」―とゴンドアの谷の歌を用いて「(人は)土から離れては生きられない」と言う台詞を放っている。これは文明や科学がどんなに発達しても、原点回帰を余儀なくさせられる―という意味が含まれている

▼ラピュタはスウィフト「ガリヴァー旅行記」を参考にしている。同小説の第3部では、空飛ぶ島ラピュータが登場し、当時の堕落・腐敗した社会を風刺。英語でもrapture(有頂天)と言う発音がラピュタに近い単語がある。そう言えばこの映画が公開された当時はバブル前夜

▼少々話が後ろ向き過ぎかもしれないので前向きな考えも一つ添えたい。戦争や腐敗を乗り越えるのも文明などの発展のうちという考えもある。来年夏には宮崎氏の新作映画「ハウルの動く城」も上映予定だそうだ。今後の福岡市の人口島計画とともに期待したい。(甲・TK)

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