コラム

2003/12/20

見過ごされた国土保全(さ・YW)

2003.12.20 【見過ごされた国土保全】

▼美しい国と国土を保全し次世代に残すことは現代の使命である。山間地域、農村地域、過疎地域の現状はどうだろうか。巷間耕作地域は放棄され、森林地域は殺伐としていることが伝えられる。若者が不足し後継者もいないため、今後ますますこの傾向が強まることが想定される

▼このような状況が続くと、ただ単に森林、山村地域が寂れ人口が減少するということだけではなく、最終的には都市部での生活者にもマイナス部分がめぐってくる。このことをあまりにも見過ごしすぎている。なぜならば河川は山間、森林地域に源を発し、しだいに合流し河川となってくるからだ

▼省庁再編が5年ほど前に議論された時、農林水産省の所管する林野庁分野と当時の建設省の河川局を1つにし国土保全省にする案が出た。これこそまさに治水対策は河川になってからではなく、上流部の美しい林野の段階から保全し守ることで第一の水害対策となることを謳ったものであった

▼わが国は森林の良さを軽視している。スイスでは過疎地域、山間部に住む人に対して年収で約1、000万円の所得が保証される制度がある。それは陸続きで他の国の国境警戒の目的があるとは聞いているが、森林を保全し観光資源となる美しいアルプスを守ることは意義深いと認められているからに相違ない

▼遅ればせながら我が国でも中山間地域直接支払制度が導入された。平均すると協定額は200万円台後半のようだ。若者を募集し、定住させそしてもっと金額も上げていいはず。結果的に治山治水費が安くなり国土保全になることに目を向けてほしいものだ。大きな財産になるはず。(さ・YW)

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