コラム

2004/01/09

新選組と武士道(水・KK)

2004.01.09 【新選組と武士道】

▼あさって11日から2004年NHK大河ドラマ『新選組!』が始まる。過去新選組を題材にした映画、テレビドラマを幾度も観てきた。秀作、佳作が続く近年の大河。従来の時代劇とはまた一味違った斬新な切り口に期待したい

▼新選組は近藤勇、土方歳三はじめ大半が農民、町人の出身。厳しい身分制度の中で、武士に取り立てられ立身出世がかなうかもしれないという千載一遇のチャンスに彼らは喜び勇んで飛び込んだ

▼徳川260年の永い太平の中で、武士というものが次第に形骸化し官僚化、サラリーマン化してしまい実戦的な剣術のできる侍が少なくなった。それとともに武士道も過去の幻想のようになってしまう

▼新選組が一躍勇名をはせたのは尊王攘夷派志士を一斉検挙した池田屋事件だが、甲州勝沼の粕尾の戦いも忘れることができない。勝沼には砦に適した大善寺があったが、徳川家ゆかりの寺を戦火に巻き込むことを避けあえて不利な布陣で戦い、敗れた。古今東西、義のために不利な状況で戦闘したもののふがいただろうか。彼らは生まれながらの武士以上に武士らしかった

▼これまで多くの新選組関係の書物が出版されているが、そのほとんどが在野の研究者によるもので、名のある歴史学者がとりあげた例は稀だ。歴史的評価はどうであれ、ひたすら国を守るべく武士道と誠を貫きわずか5年間で消えていった新選組。近藤勇の命日には今なお多くの人が墓参に訪れる。義理・人情・礼節・名誉・勇気・忠義など古来からの日本人の倫理観、価値観の基本ともいえる武士道。「個」が強調され過ぎる時代だからこそ彼らの武士道に注目である。(水・KK)

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