コラム

2004/01/17

税金の雨の中で(本社・MM)

2004.01.17 【税金の雨の中で】

▼文明批評家で歴史作家の司馬遼太郎さんは、『太閤記』の作品の中で、全国を初めて統一した豊臣秀吉を指して「日本の土地をすべて奪った大盗っ人」と評したことがあった。人の財産を不法に盗み取るのが強盗なら、人の財産を合法的に盗み取るのが国家であるともいわれる

▼これは土地だけでなく税金についても当てはまる。所得税、消費税、固定資産税、自動車税、酒税、相続税、贈与税など毎日毎月、合法的に税金は吸い上げられている。いかに国民が傘をささずに税金の雨の中を歩いているかが分かる。これほど膏血を絞り取るものか、とあきれたりもする

▼国民の血税を絞っておきながら「赤字財政でございます」と居直り、時に、その原因を国民のせいにしてはばからないのだから、腹立たしい限りである。会計検査院は毎年度省庁の無駄使いを洗い出し、首相に報告している。今年から歳出内容まで踏み込んだ指摘をしたが、いまだ効果のほどは見えない

▼16年度政府予算案は82兆円に及んだ。しかし、半分の41兆円は借金(国債)でまかなっている。稼いだ分しか使われないのが分相応であり経済原則であろう。稼いだ税収比率は過去最高の50・8%になった。借金体質を脱せず、国の家計が火の車であるのは確かである。これから先、国民への増税が待ち構えているのも察しが付く

▼政府税制調査会は毎年度、その年の税収をにらみながら税制改正を行なっている。税制が不足と見るや、調整をしつつ増税に踏み込む。お金の元締めである財務省は今年度予算から、付けた予算がきちんと使われているのかどうかようやく点検を始めた。スタートなのだ。(本社・MM)

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