コラム

2004/01/21

主婦とロボット(前橋・HI)

2004.01.21 【主婦とロボット】

▼東大工学部の研究グループが打率10割のバッターロボットを開発した。人間が投げた球を2台のカメラで捕らえスイングを調整、バットが届く範囲であれば全て打ち返す。実験では時速約21kmだったが、強度を高めれば時速150kmのボールも打てるという。このロボット発表のニュースを共に見ていた妻は「これが何の役に立つのか」と冷ややかであった

▼バッターロボット発表の翌日にソニーの「走るロボット」開発の発表があった。走行や跳躍、投球動作、ダンスなどが可能だという。ロボットが踊る姿を見た妻は「何のためにこんな物を作っているのか」とテレビの前から去っていった

▼思えば妻は「寝ている状態からジャンプして起き上がるロボット」開発のニュースでも「一体これで何をしたいのか」とテレビに向かって問うていた。どれも最先端の技術を結集して作りあげたものだが、なるほど家庭の主婦からすれば、ロボットがボールを打とうが踊ろうが大した問題ではない

▼家事や育児を任せられるほどの性能はないのも確かだ。技術の進展でやがてはそうしたロボットの開発に結びつく訳だが、目に入ってくるのは打つ・踊るという姿であり、開発がどこに向かっているのかが理解しにくい

▼公共事業も批判にさらされる。将来のための事業であっても、市民にしてみれば今の自分に直接の利益がない限り「無駄」となる。説明不足なのであろうし、局地的に赤字経営の施設や通行量の少ない道路もあったりする税金の無駄使いなどと云われてしまう。もはや昨今では世相が「聞く耳持たず」と言った状況で、先行き明るい見通しは少ない。(前橋・HI)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら