コラム

2004/01/23

建設産業と改革(水戸・KK)

2004.01.23 【建設産業と改革】

▼平成16年の新春賀詞交換会がたけなわである。悲喜こもごもの様子が見られる。挨拶に立つ各団体の代表者は「今年こそ正念場」、「生き残りを賭けた一年」との言葉が相次いでいる。以前にも増して厳しい年の始まりに身の引き締まる思いがする

▼島崎藤村の名作『夜明け前』を思い出す。江戸から明治に至る歴史の大きな曲がり角で、代々宿場の本陣を営む主人公の青山半蔵は関所、参勤交代の廃止で財政基盤を失い、破産没落した。時代のためとはいえ、家長である半蔵はこれらを無能、不徳と自らを責め不遇のうちに生涯を終える

▼多数の企業が成果主義の導入に踏み出している。年功序列や終身雇用の企業体型はもはや時と代にそぐわなくなった。より少ない人件費でより大きな利益を得る。少子高齢化が社会問題となり、加えて日本が国際的役割を担うまで成長したということだろう。しかし、まだまだ在来型に馴染んだ多くの企業にとってギャップは大いにある

▼国、各自治体の財政危機の元凶と誤って解釈される公共事業。ひと口に50数万社といわれる建設業者だが、あくまで許可業者の数。社員とその家族、さらに資材納入業者など諸々含めれば膨大な数の人々が建設産業で生きていることは疑いない。いわゆる基幹産業である

▼護送船団方式、非効率などとするイメージが強過ぎる建設業。新しい時代に合った改革はある程度は必要だろう。しかしそれは表面的ではなく建設業をより健全に発展させ、そこで働く人々の生活をより安定させるものでなければならない。建設産業は日本経済を下支えする最大の社会資本整備の担い手であるから。(水戸・KK)

厳選されたコンパクトな記事で
ちょっとリッチな情報収集

建設メールはこちら