コラム

2004/02/17

蓄音機で癒しの時を(水・YH)

2004.02.17 【蓄音機で癒しの時を】

▼とかく理不尽な事が多く、はらわたの煮えくりかえるようなことが多い不条理な社会。そんな時懐かしい音楽をかもし出す古い蓄音機が心の隙間を埋めてくれる。今静かなブームになっている

▼作家・寺田寅彦は随筆「蓄音機」で「為政家が一国の政治を考究する時(中略)教育者がその教案を作成する時(中略)あらゆる心と肉の労働者も余暇に自然の音に親しんでもらいたい。少なくもそれによって今の世の中がもう少し美しい平和なものになりはしまいか」と記している。大正11年4月東京朝日新聞で紹介

▼蓄音機はそもそも1877年エジソンが発明。日本はまだ西南戦争の時代だ。いつでも、どこでも好きな時に気軽に聴けるということから円盤のSPレコードは日本では昭和の中期まで普及した。ご承知の通りSPレコードは78回転(LPは33回転)、片面平均3〜4分程度、10インチの世界

▼日本でのレコード売上記録は1975年の「泳げたい焼きくん」で454万枚。しかし昭和初期の記録で12年に既に「進軍の歌・露営の歌」が56万枚、11年「ああそれなのに・うちの女房にゃ髭がある」49万枚、昭和8年「東京音頭」44万枚も売り上げた。その純粋な音楽に涙する人は多。い。流行の条件は「大衆の意志と心に触れること」にあるといわれる

▼当時の録音は、大きなラッパを目がけてあらん限りの声を張り上げて吹き込むというもの。当然そこには何の機械的な作為も無いひたすらストレートで純粋な歌や演奏が記録される。その様を思い浮かべ、聴くと言うより感じて至福の時を。一途で純朴な仕事こそが後世まで長く愛されると言う一例だ。(水・YH)

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