コラム

2004/02/21

百人一首の魅力(長・YK)

2004.02.21 【百人一首の魅力】

▼娘の小学校では、毎年1月の第3週に5・6年生で百人一首大会を開く。学校から手作りのテキストが配られるのだが、選者の藤原定家が第1首目に『秋の田の刈り穂の庵の苫をあらみ 我が衣手は露に濡れつつ』を選んでいるので、大抵のテキストもこの句から始まっている。いきおい最初に覚える句は、この句が多い

▼カルタ大会では大多数の児童が『秋の田の〜』を狙っているので、熾烈な競争を勝ち抜いた子だけがこのカルタを取ることができる。娘はこのカルタを取れなかったらしく『場所は覚えていたのに、少し遠かったからタッチの差で』などと悔しがっていた

▼百人一首で勝つにはコツがあるらしい。我々素人は上の句が読まれたのを聞いてから、下の句を思い出してカルタを探し取る。しかし、すべての句を覚え、下の句から上の句を連想して取れると言う。つまり『我が衣手』の場所を覚えておいて『秋の田の〜』と詠んだ瞬間にそれを取ると言うことらしい

▼百人一首のなかで個人的に好きなのは『君がため春の野に出て若菜摘む 我が衣手に雪はふりつつ』という句だ。筆者が百人一首を覚えたのも冬休みで、ストーブにあたりながら必死に暗記していたのを思い出す。最初に覚えたのは『秋の田の〜』ではなく、下の句が同語句で始まる『君がため〜』であった

▼建設業界はここ数年冬の季節とも氷河期とも言われ続けている。経済動向は、薄ぼんやりと光が見えてきたされている。秋の田の哀愁を帯びた風景より、雪で多少服が濡れるてながらも、春の野に出て若菜を摘む躍動的な姿を見たいもの。他力本願では成し得ない昨今だ。(長・YK)

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