コラム

2004/03/10

恐るべき狭幅員の道(松・JI)

2004.03.10 【恐るべき狭幅員の道】

▼休日はベビーカーを押して近くの公園に出向き遊ぶよう努めている。この公園に向かうまでの道は狭い。車は民家の塀ぎりぎりに寄せればすれ違える程度である。車道部分の端には白線が引かれ、外側の排水溝上蓋を歩道と見なしている。近所の子供も多く通るのだが、その傍らを車が猛スピードで駆け抜ける。歩くたびに身の危険を感じる

▼ガードレールのある歩道はどうか。こちらは傾きや段差が邪魔になる場合が多い。行く手の真ん中に電柱がそびえ立つこともある。車の恐怖は軽減するが、歩きにくさは変わらない。先日など、この歩道を映画のロケ隊が人と機材で占拠していた

▼国土交通省の社会実験「くらしのみちゾーン」が各地で進められている。歩行者優先道路を目指し、狭幅員道路において車速抑制の凸型舗装やS字クランク整備、無電柱化やカラー舗装などを行なうものだ。実験では車の平均スピードは時速6kmほど下がったらしい。また実際に歩行者優先の道をつくった地域では事故が減少しているようだ

▼しかし、小さな子供からすれば、時速40kmが34kmになろうとも恐怖感は減少しない。車イスで通るのも不安であろう。数字は事故やスピードの増減しか表さない。横を歩く人々の体感まではわからないのである。そもそも実験や施策は中心市街地及びその周辺だけでしか行なわれていない

▼結局はドライバーの良心に頼るしかないのが現状だが、それが当てにならないからこその国交省の実験。対象範囲外である我が家から公園までの道はいつまでも恐怖の生活道路でありつづけるということなのだろう。公共事業の社会的認知は遠い。(松・JI)

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