コラム

2004/03/17

町づくりで犠牲的精神を(さ・YW

2004.03.17 【町づくりで犠牲的精神を】

▼先日、町づくり、道づくりなどに関する講演を聞いた。それは蔵作りで有名な埼玉県川越市を題材に、単に町づくりと言っても想像を上回る地域に住む人々の町並みへ保存への努力と足着があることを知った。それは犠牲的精神に近いものであるかのようだった

▼蔵が既存し古くからの商家が並ぶ通りは、町並みの保存のため、ルールブックを作り細かい規定を定めている。そのルールブックは3、500円で販売してもいる。通りに面したデザイン、色、看板なども規定し、新規に建築確認を申請する場合にも、ルールに沿っているかを追及されるとのこと

▼同じようなケースで全国的に町並み保存を重視している地域は多い。しかし古きを愛し伝統を大事にする欧州の比ではない。以前住んだことのあるドイツのノルトヴェストファーレン州の一部の都市では、町並み保存地域を指定したなら、絶対に変更できないルールがある

▼一定のエリアを町並み保存地区とすると、今後100年間は家の外観、色などを決め隣近所に示し、納得していただいたことを州の裁判所に証拠として届けなくてはならない。つまり、少し改修や何かを子や孫の代にやりたいと言っても先祖が結んだルールを紐解かなくてはならない。100年間動かせないと言うわけである

▼町づくり、それも景観、町並みの保存は、とりわけ生活する、住み続けることを前提にしているからこそなおのこと難しい。したがって、住民多少の犠牲的精神があって初めて町づくりや町並み保存が成り立つのだ。行政の押し付けではないというである。その精神を大いに見習いたいものである。(さ・YW)

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