コラム

2004/04/10

介入より自国振興(甲・EO)

2004.04.10 【介入より自国振興】

▼政府・日銀が円を売ってドルを買う大規模な「為替介入」は、昨年1年で20兆円を超え、既に今年も2月までのわずか2か月で10兆円を超えるという空前の規模に膨れ上がっている。米経済誌は、財務省の溝口財務官を「ミスター・ドル」と名づけ、日本の姿勢を皮肉っている

▼「円売り・ドル買い介入」とは、政府が外国為替資金特別会計で国債の一種である政府短期証券を発行して金融市場から大量に円を調達し、為替市場に円を供給し円高の動きをくい止めること。輸出企業を支える一種の公共事業との指摘もされている

▼実は、このドルを買った資金は米国債の購入に充てられ、その一部が我が国の株式投資に投入、これが昨年来の日本株の急騰劇を演じた。米国投資家が日本の介入で、それまで保有していた米国債権を損することなく売り抜けることができたため、得られた資金をもっと儲かる日本株に差し向けた結果だった

▼昨年5月、債務超過のりそなに2兆円の公的資金を投入するのを見ていた外国人投資家は、資本主義のルールを破ってまで大手銀行を保護する政府の姿勢を見て、倒産はないと安心して安値の銀行株を買い上げることができた。こうした法外な利益を上げ得る前提条件は、我が国の金融行政が世界とかけ離れているためで、一攫千金を狙う外国人投資家の格好の標的となる

▼我が国の巨額の介入資金は、ブッシュ政権が財政赤字の中で進めている大型減税など景気対策で発行する大量の米国債を買い支える財源になっている。介入資金といっても、これは国民の税金。そんな資金があるのなら自国の景気対策に振り向けるべきだ。(甲・EO)

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