コラム

2004/04/15

1万社が生まれ消える(松・JI)

2004.04.15 【1万社が生まれ消える】

▼近年ビジネス雑誌等で頻繁に登場する言葉が「独立」「副業」である。資格取得特集やネットビジネス成功者体験談などが誌面を飾る。会社を去る自営の道と、会社に残ったまま収入を得る道と立場は相対するが、いづれにせよ、どちらも現状の給与形態や雇用状況に見切りをつけている

▼サラリーマンや主婦などの起業による景気活性化を目的とした、15年2月施行の「最低資本金規制特例制度」利用の会社設立が1年余で1万社を突破したという。同制度は株式会社1000万円、有限会社300万円という従来の資本金規制を撤廃し、最低1円の資本金で会社設立を可能にしたものだ

▼設立した1万社のうち資本金1円の企業は400社を越える。制度設立が効を奏したのか、1年間に新規登記された会社は前年比で約1割増である。ところで制度を利用した起業が1年で1万社ならば、倒産した企業もまた1年で1万社を越える

▼民間調査会社の調べによると平成15年の倒産数は約1万6000社。前年まで3年連続で1万9000社を越えていたことを考えれば減少傾向の兆しともいえるが、負債総額は7年連続で10兆円を越えたという。ちなみに建設業は前年比約13%減の約5000社だが、それでも全体の3分の1近くを占めている

▼先の制度では、資本金1円でも起業できるとはいえ、5年以内に従来通りの資本金まで増資しなければ会社は解散させられる。年間1万社が生まれ、また消える時代である。会社存続の難しさを、身をもって知る人が増えるのであろう。しかし、その経験や知識が、やがては経済を変える原動力になるに違いない。(松・JI)

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