コラム

2004/04/21

三位一体の行方(甲・EO)

2004.04.21 【三位一体の行方】

▼三位一体とは、キリスト教でいう神、神の子キリスト、聖霊の3つが神で、本質は一つであるとの教義。小泉内閣は昨年6月、地方分権を進めるため?国庫補助金の削減?国から地方への財源移譲?地方交付税の見直しーをワンセットで進める三位一体の改革を打ち出した

▼補助金と交付税を大幅削減し税源を移譲しようとするもの。国の補助金をやめて地方が自由に使える一般財源にすれば、全国一律の補助対象要件にこだわらない、地域に合った地方独自の事業が展開できる

▼補助金20兆円、交付税17兆円のうち、補助金については今年度から3か年で4兆円削減し、そのうちの8割程度を税源移譲するのが公約。初年度の今年度には補助金約1兆円が削減されたが、引き替えのはずの税源移譲は約6、500億円に止まった

▼それも、国税の所得税からの一部を移した所得譲与税なるものを新設しただけに終わっており、とても財源移譲とは言えるものではない。加えて地方交付税と、自治体財政のやりくりに使われてきた赤字地方債(臨時財政対策債)交付税も合わせ約3兆円が減額された

▼このため、各自治体の今年度予算編成は公共事業費の大幅カットなど住民サービスを低下させたり、貯金にあたる財政基金を取り崩すなど、厳しいタケノコ財政を迫られた。このような状況となったのは、総務省を始めとする霞ヶ関省庁が権限や利権を保ちたいため基幹税としての移譲を渋ったのが原因。夏の参院選を前に、財政難となった地方自治体では「このままでは野党にならなければならない」と不満が高じている。三位一体の教義にはほど遠いのでは。(甲・EO)

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