コラム

2004/05/19

古紙は誰のもの(甲・EO)

2004.05.19 【古紙は誰のもの】

▼平成9年4月施行の容器包装リサイクル法により資源の分別収集が普及し、新聞や雑誌、段ボールなどの古紙も分別収集している自治体が多い。バブル崩壊以来、古紙の価格は下がり、一時は問屋が回収業者から処理費を取るなど厄介者扱いされた。そこでやむを得ず自治体が回収を始めたが、時期を同じくして中国や台湾などアジア諸国の古紙需要が急増、価格も持ち直した

▼今度は一転して、お金がゴミステーションに落ちているような状況に変わった。そのため、この古紙を勝手に持っていってしまう事例が急増、中には何台もの車で組織的に抜き取りをする業者まで現れている

▼この行為の是非は難しい問題。分別排出された古紙をゴミとみると、法的には所有権が放棄されたものだから誰が持っていっても問題は無い。これに対して古紙は有価物だから、これを持って行くのは窃盗にあたるという見方もある。集団回収では、市民と業者が古紙を売買するので所有権がはっきりしているが、自治体の分別回収はこの点があいまいだ

▼自治体によっては条例で禁止するところも出てきたがきわめて少数。これは、資源の所有権を主張すると、万一、古紙に放火され火事になった場合、その責任は所有者である自治体が負わなければならなくなる可能性があり、数多いゴミステーションを管理するこは現実的に不可能であるためだ

▼抜き取りをする者の多くは、住所不定の失業者などらしい。古紙等の抜き取りは、彼らの生きるすべ、であり規制しても、この不況化でやるものはいくらでもいる。彼らを束ねて甘い汁を吸う元締めが問題との声もある。(甲・EO)

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