コラム

2004/05/26

国民年金の未加入(甲・EO)

2004.05.26 【国民年金の未加入】

▼国民年金の未加入や保険料未納の増加に歯止めをかける狙いで、女優の江角マキコさんを起用し「将来、泣いてもいいわけ」、「納めないともらえない国民年金」などのキャッチコピーで6億2000万円を投入、攻撃的なPR活動を展開した社会保険庁

▼しかし、江角さん本人が年金未加入だったという事実は、苦笑してしまった。それ以上に笑わせてくれたのが社会保険庁。加入の確認を怠った自らの非を省みず、損害賠償請求を検討中とのコメントに国民からは、「己の恥を知れ」との声が一斉に吹き出た

▼その後の年金法案審議に絡んで出てきたのが、国会の与野党ばかりでなく、全国に蔓延している政治家の国民年金の未納問題。政治家だけではなく、今や対象者の4割近くが未納という同年金は実質的に破綻状態で、特に若年層の未納が急増している。今回の騒ぎで、閣僚ですら未払いなんだから、と支払い拒否の口実にする人も出てきそうだ

▼毎月1万数千円の定額制にしか加入できない国民年金だけを支払う人々にとって、受け取る金額が小遣い程度(平均4万6000円)の、名前だけの年金に対して「支払っても仕方がない」というのが偽らざる思いであろう

▼加えて、制度が複雑きわまりない。滞納しているかどうかを社会保険事務所でいちいち確認しなければわからないし、転職や退職で国民年金に未加入となるケースが続出する。さらに、非常に複雑な申請書をきちんと提出しないと年金を支払わない仕組みとなっている。水面下では、その「複雑さ」が我々の知らぬところで一部の人たちの利権の温床となっているそうだ。(甲・EO)

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