コラム

2004/06/15

「さっちゃん。ごめんな」(水・YH)

2004.06.15 【さっちゃん。ごめんな】

▼長崎県佐世保市の小6女児事件について「元気な女性が多くなってきた。総じてどこの社会もそうでは」と感想を述べた現職大臣をご存じだろうか。心ない発言として撤回を要求され、ごねにごねた結果撤回に至ったという先生を

▼井上喜一・内閣府特命担当大臣(防災)・有事法制担当という立派な肩書きの代議士だ。東大法学部卒、農水省から衆議院議員へ。当選5回。絵に描いたようなエリートコース。先生のホームページによると趣味は読書・将棋他。座右の銘は「初心忘るべからず」とある

▼亡くなった御手洗怜美さんの父親・恭二さんの手記を虚脱感をもって読んだ。「さっちゃん。今どこにいるんだ。母さんには、もう会えたかい。どこで遊んでいるんだい。さっちゃん。さとみ。思い出さなきゃ、泣かなきゃ、とすると、喉仏が飛び出しそうになる。(中略)さっちゃん。ごめんな。以下略」。父親の慟哭が聞こえる。涙を誘う

▼厚生労働省が昨年の人口動態統計を発表。出生率は過去最低の1・29に。年金改革の渦中とあって大騒動だ。「予想外、一時的」などと背景を分析している。政府は今年4月に「少子化社会対策大綱」で今後5年間の指針を決めた。そして「新新エンゼルプラン」とする実行計画をまとめるという。しかし子を生むということはマニュアルではない

▼自殺者が3万2082人にも達し増加傾向なのだ。市井のお父さん、お母さんの気持ちを理解できない、このような政治家が作るマニュアルで少子化に歯止めがかかるとは思えない。「さっちゃん。ごめん」。涙することが多くなった。年のせいばかりでは無いような気もするが。(水・YH)

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