コラム

2004/06/18

フェアレディZ(本・MM)

2004.06.18 【フェアレディZ】

▼カー・レーサーであり、荒野の7人、大脱走、栄光のル・マンなどの映画で一世を風びした俳優スティーヴ・マックィーンは、自宅から撮影所まで毎日、愛車のニッサンフェアレディZで通っていた。低価格でスピードの出るフェアレディZは、当時米国で人気が高く米国市場に名ブランドとして定着していた

▼それから30年後。日産自動車は「巨額の負債の返済期限を控え、資金繰りの目途が立たない瀕死の状態におちいり、フランスのルノーと資本提携を締結。再建請負人、前線司令官として、カルロス・ゴーン氏が日産最高責任者として送り込まれた。つい5年前のことである

▼氏が最初に手をつけたのは、今の経営状況を分析し、問題点を探すことだった。経営陣や従業員は何を考え、何を望んでいるのか。ヒアリングを通じて、経営再建案を練り上げ、3年という短い年月で会社を再建した

▼成功した理由についてゴーン氏は「改革の目的を確立し、それを全従業員に周知徹底し、現場の従業員のやる気をアップしたことだ」と答えている。しかも、従業員が痛みを伴う改革に参加することを喜びとし、生きがいと感じるようにすることもトップの「改革の目的」に含まれると言っている

▼今年3月期決算は過去最高益をあげた上に、経営手腕が評価され、春の藍綬褒章を受章した。「現場の力を引き出したのが成功の鍵、これで日本人の一員になれた」と胸をなで下ろした。しかし、未来には、日産車を名ブランドにのし上げたフェアレディZをもう一度復活させたいという野望がある。「Zは日産のDNA」と言い切っている。この車をこよなく愛した。(本・MM)

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