コラム

2004/06/24

建設業を支える力(前・HI)

2004.06.24 【建設業を支える力】

▼ある地方都市の中心部に架かった橋梁の開通式を取材した。高速道路のインターチェンジのアクセス路としても位置づけられるなど、開通式は約600人が集い盛大に挙行された

▼旧橋は、昭和8年に架設され、70年余り地域住民に親しまれた。その中でも、近くに幼稚園・小学校・中学校・高校があることから、一日を通して歩行者の多い橋梁でもあった。筆者はこの高校の卒業生で、娘は現在、この小学校に通学している。高校のマラソンコースにもなっており、筆者も当時、息を切りながら何度も走った覚えがある。旧橋の上に佇むと、当時の私に戻ったような錯覚に陥り、懐かしい

▼式典といえば役所主催のため、内容、出席者とも役所色の濃い通り一遍のセレモニーを想像していたが、この式典では、一般参加、特に親子連れが目立った。渡り初めで、橋面全体に広がった一般参加者の姿は壮観で、感動さえ覚えた

▼橋梁の着工は平成10年度で、完成までに予定を大幅に遅れ6年を要している。施工途中、公共事業費の削減時期と重なり、当初計画していたスケジュール通りに進まない時期もあった。しかし施工中も、土木を学ぶ生徒の実習に使われたり、子どもたちが絵を描きにきたりと、開通前から一足先に役立つ姿も見られた

▼今回の架け替え事業で、実際現場に入って働いた人はかなりの人数に上るだろう。その中で、式典に出席した人はわずかではないか。しかし、自らが関わった工事が、多くの人に役立ち愛され、永く使われる。「この日を待っていたよ」一般参加者の表情に表れたこの喜びこそが、建設業で働く人々の大きな原動力になる。(前・HI)

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