コラム

2004/07/15

排水路のヤマメを釣る(前・HM)

2004.07.15 【排水路のヤマメを釣る】

▼暖かくなったので、以前から興味があった渓流釣りに挑戦した。仕事でお世話になっている釣り歴15年のベテランの方に、頼み込んで師匠になってもらった。新品のウェーダーに新品の竿、服装はジャージという、いかにも初心者のいでたちで初夏の渓流へ出発

▼前日が雨だったため、水量は若干多めで、予想以上の流れの強さに思わず足を取られそうになる。初めての渓流は、まさに自然の真ん中という感じで、両側に生い茂る木々も、鳥のさえずりも、足元を流れる水の冷たさも新鮮で素晴らしかった

▼ところが肝心の釣りの方は、なかなか手強かった。自分なりに一生懸命ポイントを探し、エサを落とすが一向に手応えがない。師匠も色々とアドバイスをくれるが、不肖の弟子はそれに応える事も出来ず、ただエサと時間を浪費していく。師匠曰く「いかにも魚がいそうな所は、すでに釣られている場合が多い。誰もがいないと思うような所を狙ってみるのもいい」そうだ

▼どうも釣り人対魚ではなく、釣り人対釣り人の要素が強いようだ。確かに数に限りがある魚たちを大勢の釣り人が狙っているわけで、教科書通りの事をしているだけでは釣果は頭打ちだ。ちょっと笑い話のようだが、豪雨の翌日に排水路へ避難していた大ヤマメを釣った人もいるそうだ

▼ふと考えると、今の公共事業を取り巻く状況に似ている。少ない事業を多くの企業が狙っている状態だ。その中で生き残っていくためには、他社と違う事へのチャレンジは必要だろう。また、それは社員一人ひとりにも言える事。排水路で大ヤマメを釣るような柔らかい発想を持っていきたい。(前・HM)

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