コラム

2004/07/17

建設業を楽しむ(前・HI)

2004.07.17 【建設業を楽しむ】

▼取材先で立ち寄った飲食店で、古民家の再生を中心に営むという建築業者と話す機会があった。「この仕事は、自らが楽しんでやらなければダメだよ」という氏は以前、会社を倒産させた経歴を持つ。再スタートも建設業を選んだ氏は「今度は楽しんで建設業をやる」ことにこだわったという

▼少子高齢化社会の進展や価値観の多様化、また「今あるものを大切にしよう」と考える人が増えたことなどを背景に、リフォームとともに、古民家を再生する人、古民家を求める人が少なくないようだ

▼一方で、古民家再生を手がける業者は決して多くないのが現状。ある人が、老朽化の進む家を住宅メーカーに相談したとき「建て替えないとダメ」と言われたが、同氏に相談して「構造材が活かせそうだ、一部の補修でなんとかなりそうだ」という話をすると「うれしそうな顔をしたよ」と満足そうに振り返る

▼古民家を再生すると、キッチンやバス、床暖房などの設備に、限られた資金を集中できる利点もある。氏によると古民家再生住宅に設置したシステムキッチンは、一般的な建売住宅などに使う設備よりも、価格で2倍から3倍のものが多いという。ある一点にお金を惜しまず、その他は我慢する「一点豪華主義」が強まる消費傾向は住まいづくりにも見られる

▼日建連が、会員企業の発展に向けたシナリオを描く中期ビジョンの中間報告を明らかにした。それによると建設業は今後、発注者への依存体質を改め、事業者としての行動が求められるという。これを聞いたとき、古民家再生を楽しむ氏の明るい容姿が思い浮かんだ。見本となる理想的例である。(前・HI)

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