コラム

2004/07/29

トリックアートの効果(山・SA)

2004.07.29 【トリックアートの効果】

▼街を歩くと平日でも街中の繁華街はシャッターを閉じ、営業していない店がかなり多くなった。昔、盛っていた県庁所在地や都市部に限って起きているこの空洞化現象は深刻だ

▼人の流れも新規に開発が行いやすい郊外に拠点が移った。田んぼが広がっていた土地もしだいに開発が進んでは、小さな店がポツポツと立ち始め、賑わいのある街へ変貌を遂げようとしている。新たに開発を行うと自然を失なってしまうが、逆に生活の利便性や外部から人の流れが増加し、街の発展が促進される

▼一方、廃れる中心街に目を移すと、シャッターや壁に色々な絵が描かれているのを多く目にする。単なる落書きにしては、目を疑うような素晴らしい絵に出会うことも度々である。そんな絵を「トリックアート」と言うそうだが、その効果は意外と大きい

▼トリックアートは、窓のない殺風景な壁に窓を描いて青空を描いたり、狭い場所にパース(傾き)を付けて奥行きを広く見せたりと人間の視覚に一瞬錯覚を引き起こすもの。人間は感情動物であるから視覚からとらえる絵は心を和ませ、想像することで安心やリラックスを生む。この特性を利用して、病室などの内壁にも楽しい絵がたくさんが描かれていたらどうだろう。病は気からという言葉にもあるように、薬のような効果を期待できないだろうか

▼現在、日本はイラク復興支援に参加しているが、自衛隊などが使う車輌はどれも迷彩柄だ。輸送飛行機なども、地域独特の色を持つ空色にするなど見た目は地味だが、どこか恐怖を感じる。こうしたものが、平和な色として歓迎されるようになって欲しいとつくづく思う。(山・SA)

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