コラム

2004/08/03

「変しい、変しい」のこと(水・YH)

2004.08.03 【「変しい、変しい」のこと】

▼石坂洋次郎著の『青い山脈』。「変しい、変しい新子さん・・・」。この偽のラブレターが発端で展開する小説。「変しい〜」はご承知のとおり「恋しい〜」の誤りである。「悩ましい」も「脳ましい」と

▼先般、高等学校教育課程実施状況調査報告書が公表された。昨年11月に10万5000人を対象に国語、数学、理科についてペーパーテストやアンケートを実施した結果だ。その中でも特に国語の結果が予想以上に悪く、いろいろな話題を呼んだ。議論されるべきテーマを多く含んでいる

▼設問の一例で「拝啓」と正しく書けたのはわずか22・4%で65%が正解するだろうとする予想を大きく下回った。「はいけい」や「拝けい」など準正解を含めても34・9%に過ぎなかったとする点。書けないが読めるとする時代背景だろう。昨今はインターネットのメールや携帯電話による伝達が現実でそれがステイタス

▼ワープロが様式を示し、挙げ句の果てはアンダーラインで誤字脱字の注意をしてくれる。その為、文章たるやシンプルで意味不明の略語が多用されるなど、根本的に旧来の伝達の手法が変わってしまった。それで充分要件を満たす文化になっている。むしろ端的に伝達する方法などはそれらの方が優れているかも知れない

▼結果を踏まえ「社会人として必要とされる言語能力の基礎を育成する指導と充実することが必要」と分析。安直には解決しないだろう。教育現場で浸透するより社会の流れの方が早いから。様式に拘って意思表示が的確に伝わらないより、伸びやかに「変しい、変しい」と稚拙な内容や誤字、脱字があっても個性があったほうが良いかも。ペンを取って書くことが肝要。(水・YH)

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