コラム

2004/08/04

「腕時計」が無くなる(甲・TH)

2004.08.04 【「腕時計」が無くなる】

▼人類が「時」を考え始めたのは何千年も前のこと。紀元前2千年頃にエジプトで作られた日時計が時計のルーツと言われている。我が国では西暦671年に天智天皇が初めて漏刻(水時計)を作り、時を知らせたと日本書紀に記載されている

▼日本の時計産業の歴史は、16世紀中期。渡来した最初の機械時計は、1551年に宣教師フランシスコ・ザビエルにより、周防の国(現・山口県)領主の大内義隆に献上されたもの。その後、ローマ法王訪問使節が豊臣秀吉に自鳴鐘時計を献上。我が国で、既存する最古の時計は静岡県の久能山東照宮にあり、徳川家康が所有していたもの

▼江戸時代に入ると、外国から輸入された機械時計を参考に、日本独特な工芸的時計「和時計」が誕生。これは、欧米が用いていた「不定時法」と違い、日の出、日没によって昼と夜に分け、それぞれ6等分する時刻表示方法。時刻と太陽の位置は一致するが、夏の昼時間は長く、夜の時間は短くなるなど、季節によって時間の長さが変化する時計である

▼現在、世界で作られている腕時計のほとんどが電池で動くクオーツ時計で、機械式時計は少数。ところが、東南アジアや中東地域では、電池交換出来る場所が少ないため、性能が良く壊れにくい日本の機械式時計(自動巻など)は非常に人気が高い

▼ところが、最近若者の間では携帯電話に時計表示機能があるから腕時計はいらないと言う。デザインなど付加価値の向上に努めてきた腕時計だが、携帯電話の手軽さ、便利さに危機的状況へと追い込まれてきた。近い将来、「腕時計」が無くなる時代がやって来るかもしれない。(甲・TH)

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